そんな事を願ったところで…


アタシの罪は消えない。


アタシ達…と言いたいけれど、


仁君と別れて産む。という選択肢もない訳じゃなかった…。


結局,決めたのはアタシだから…


悪いのも…『アタシ』だ。





受け付けで薬をもらい、病院を出る。


外はもう,夕方の赤みをおびた…生温い空気になっていた。


ハッと我に返り仁君に電話をかけると、


神社の階段から下りて来た。


仁;お疲れ様。


あきな;…うん。


スッキリとした笑顔で話す仁君に…本気で嫌気がさした。


あきな;…何して待ってたの?暑かったでしょ?


仁;ちょうど木陰にベンチがあってさ!寝てたよ。


手術の成功とアタシの無事を祈ってるって言った人が…寝てたって…


あきな;アタシ!!途中で麻酔が切れて、すごい痛い目にあってたんだから!


勢いよく喋るアタシに圧倒されたのか目を丸くして


仁;あきなはそんなに酒強くないのになぁ〜…?


なんでだろうなぁ??なんて一人でブツブツと言っている。


麻酔の効きは、アルコールの強さとも関係があるらしく,アルコールに強い人は麻酔の効きも弱いらしい(仁君談)


だけどそんな事が言いたい、言って欲しいんじゃない…。