校外学習の翌日から、私はまたパソコンの前に向き合う時間が増えた。
うまくいかなくて、落ちこんだこともあったけれど、やっぱり自分の想像や世界を文字にしていくのはすごく楽しい!
少しずつでも私の物語が色づいていく。
「んん~っ!!」
私は大きく伸びをして、こり固まった肩をまわす。
「はい、どうぞ」
ゆきの声とともに、机に紅茶が置かれる。
「ありがとう!わぁ、いい香り」
「紅茶は集中力を高めるんだって」
「そうなんだ!」
「リラックス効果もあるみたいだから、あんまり気負わずがんばって」
「うん!ありがとう、ゆき!でも、今は書くのがすっごく楽しいんだ!」
すみれ、ゆき、そら、あかねとの学校生活、そして校外学習を経て、私が書きたいと思った物語。
それは、私たちのことだった。
ある日突然動物たちがひとの姿になってしまった世界。
ヒロインは、いろんな動物たちと仲良くなって、友情を深めたり、もしかしたら恋にも発展……。
なんてお話を書きはじめた。
実際にあったことや、みんなをモデルにしつつも、フィクションを織り交ぜて楽しく言葉を紡いでいく。
私のベッドに腰かけて文庫本を読んでいたすみれが、顔を上げて私を見た。
すみれはなにも言わずにまた本に視線を戻してしまったけれど、その瞳が、がんばれ、って言ってくれているような気がしたんだ。
私はそれにうん!とうなずいてまたパソコンに向き直った。



