翌日にはすっかり熱の下がった私は、また気を取り直して新しいお話を考えることにした。
ご飯を食べている間も、登校中も、たまに授業中も新しい物語のことばかり考えていた。
私の夢はまだはじまったばかり!
あきらめずにがんばってみよう!
そんなとある日。
「わーっ!!テーマパークなんて久しぶり!」
私たちは、校外学習でテーマパークに来ていた。
アトラクションの他にも、博物館や動植物園なんかも入っていて、すっごく大きな施設!
班員はもちろん、すみれにゆき、そらにあかねと、いつものにぎやかなメンバーだ。
「桃花っ!どこからまわる?!」
そらが今にも駆けだしそうな勢いで、私の肩から手元のマップを覗く。
「おれ!ジェットコースターに乗りたい!」
「じゃあ、まずはそこから行こっか!」
「おー!」
私たちはこの施設で一番人気のジェットコースターへと向かう。
列の最後尾に並んで、そわそわと順番を待つ。
「ジェットコースター!乗ってみたかったんだよなー!超楽しみ!」
「あ、あんな高いところから落ちて大丈夫なの……?」
はしゃぐそらに対して、ふるふるとふるえるあかね。
「あかね、私が手をつないでいてあげるから、大丈夫だよ」
「うん、ありがとう!桃花ちゃん」
そんなやり取りをあかねとしていると、そらが間に入ってくる。
「あかねばっかずるくね?おれも桃花と乗りたいんだけど」
「次のアトラクションは一緒に乗ろう?」
そう言うと「やった!」とそらは喜ぶ。
「桃花、元気になってよかった」
「え?」
ゆきの言葉に、私はゆきを見上げる。
「うん!もうとっても元気だよ!」
熱もすぐ下がったし、あれから体調も全然悪くない。
校外学習にかぶらなくてよかったよ。
「うん、それもだけど、心のほうも」
続けられたゆきの言葉に、あ、と気がつく。
そっか、ゆきは私が落ちこんでいたことを気にしてくれてたんだ。
私はもう大丈夫!
そう伝わるように、ゆきに笑いかける。
「うん!もう元気だよ!」
ゆきは一瞬目を丸くして、それからいつもみたいに穏やかに微笑んだ。
「それならよかった」



