小説を書き始めて、どれくらいが経ったかな。
みんなの協力もあって、少しずつ私の物語が書き上がりつつある。
まだ恋する気持ちははっきりとはわからないけれど、みんなと過ごすうち、引きこもりがちだった私の心が、少しずつ広がっていくような感じがした。
執筆も学校生活も順調だったある日。
私はとあるサイトに載っていた、ひとつの記事に目を止める。
「わわ!すみれ!ゆき!これ見て!」
私はあわててすみれとゆきにサイトのページを見せた。
「陽毬ちゃん、また小説の賞取ってる……!」
その小説投稿サイトの金賞の欄に、「菊川 陽毬」とよく見知った名前が掲載されていた。
「ああ、桃花の友達の」
「本当だ。すごいんだね、菊川さんって」
「本当にすごいよ、陽毬ちゃん…!」
私は嬉しくなって、あわててお手紙に気持ちをつづった。
賞のお祝いの気持ちをたっぷり文字にしてしたためる。
「私も負けていられないよね!もっとがんばって書かなきゃ!」
大好きな友達ががんばっている姿に、私もやる気がわいてくる。
「完成目指して、がんばろー!」
私はそれから、大好きな本を読むこともやめて、書くことだけに集中することにした。



