こんなふうな物語が書きたいなぁ、って構想はあるけれど、うまく文章にできないまま何日かが経った。
でも今は、今私が経験していることに耳を澄ませてみることにした。
そうして日々を過ごしているうちに、もしかしたらアイデアも出てくるのかもしれない。
そんな今日この頃。
美術の授業で写生を行うことになった。
お題は自由。
学校内であれば、授業中にどこへ行って描いてもよし!
ただ、他のクラスももちろん授業中だから、なるべく邪魔しないよう静かに。
私もひとり、ふらふらと校舎を歩く。
なにを描こうかなぁ……。
そんな風に辺りを見回しながら、スケッチしたいものを探す。
他のクラスはいつも通り教室で授業を受けているのに、私たちだけ自由に歩き回っているというのも、なんだか不思議な感じだ。
そっか、こういう感覚とか、空気感とかも、小説のお話の中に取り入れられたりするのかな?
私は今自分が感じた感覚や空気感をしっかりと意識しながら、また校舎内をふらふらと歩く。
するとうさぎ小屋の前で、ひとりの男の子を見つける。
「あ、あかね…!」
ついこの前までうさぎだったはずのあかね。
あかねは小さく可愛いらしい容姿に、大きな画板を首から下げて、なにかを必死にスケッチしていた。
私は邪魔しないよう、静かにあかねに近づく。
あかねの画用紙には、今にも動き出しそうなうさぎたちがいきいきと描かれていた。
「うわぁ……!かわいい……!!」
思わずこぼれてしまった私の言葉に、あかねは飛び上がって驚いた。



