「展開が…思いつかない……」
さっそく小説を書き始めた私は、早々につまずいてしまう。
ノートをながめて、うーんとひたすらにうなり声を上げる。
小説はいろんなジャンルを読んでいる。
ファンタジーやミステリー、文芸からライトノベルまで。
そんなふうにいろいろ読んできた中で、私が書きたいなと思ったお話は、明るく元気な女の子が主人公の恋愛小説。
恋愛小説だって今までに何冊も読んできた。
ヒロインとヒーローが恋に落ちるシーンなんて、まるで自分が体験しているかのようにドキドキして夢中になって読んじゃうよね!
キュンとしてハッピーで、恋がしたくなるような物語を書いてみよう!
そう思ったんだけれど……。
「あれ……?恋って、なんだっけ……?」
あんなにたくさんのお話を読んできたのに、いざ書こうとすると「恋ってどんなものだっけ?」っていう疑問がぐるぐるわいてくる。
そもそももしかして私って、恋をしたことがない…?
漫画や小説を読んでいて、あのキャラクターがかっこいいなとか、テレビを見ていてあのアイドルさんがすてき!とか、そういうふうに思ったことはたくさんある。
だけどそれって、恋愛感情ではないよね?
ライクであって、ラブじゃない、というか…。
推しみたいな感じで、尊いって感覚が近いのかもしれない。
「ううーん……」



