四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 5月に入ると4月とは違った爽やかな風が頬を掠めるようになり、日を重ねるごとに確実に気温が上がり始めた。

 春の嵐の名残か、窓から外の様子を見ると強めの風が吹き荒れている。

 でも、このくらいの風ならお出かけできるよね。

 天気アプリにも曇り後晴れだってあったし、雨は振らない、はず……。

 カーテンの隙間を見つつぼんやり思案していると、背後から満足そうな声が発せられた。

「よし! 我ながら可愛くできた! ほらほら陽依、目開けて見て!」

「……わ、す、すごい……。」

 声の主は今日も元気な天毬で、言われるがままに瞼を上げる。

 すると目の前のドレッサーには右手に大きな櫛、左手に小さいコームを持ってドヤ顔をしている天毬と……いつもよりも数倍大人っぽい、自分が映っていた。

 ミディアムよりも長めのクリーム色の髪は普段は絶対しない三つ編みハーフアップで、ワンポイントとして桜柄のバレッタが留めてある。

 メイクもナチュラル寄りだけどしっかり血色感が増しているいい感じになっていて、すごい以外の語彙が消えてしまった。