四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 カァーカァーと、頭上で何匹ものカラスが鳴いている午後6時半。

 まだ4月下旬だから明るめではあるけど、天毬と違って部活に入っていない私はこの時間にちょっとした特別感を覚える。

「ごめんね伊春君、送ってもらっちゃって。」

「いえ、私がしたい事なので気にしないでください。思ったより遅い時間にまでかかってしまったですし、主様に何かあったらいけませんから。」

「あっ、伊春君また敬語に戻ってるよっ。」

「申し訳ありません、やはり慣れないものでして。学校以外では敬語でも許してくださいませんか?」

「……うん、いいよ。私も伊春君に無理してほしいわけじゃないから、喋りやすいように喋ってほしいな。」

 まだ水色率が高い空の下、私の指摘に伊春君は苦笑した。

 けど私だって強制したいわけじゃないし、学校の外なら徹底しなくてもいい気がする。

「ふふ、ありがとうございます。」

「……っ、どういたしまし、て?」

 そう言って口元を緩めた伊春君に、またドキッと心臓が音を立てる。

 そのせいか変に声が上ずって疑問形で返してしまい、恥ずかしさから頬が熱くなるのを感じた。