四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

「うーん……熱々グラタンがこっちに……」

 春休みももう終盤の4月のある日、私は夢の中で大きなグラタンに追われていた。

 夢なのに暑さを感じて、肌に汗が張り付くのを感じる。

 しばらくは汗を拭いながら逃げ回っていたけど、ずっと走っていたら夢の中でも疲れるわけで。

「か、海鮮たっぷりグラタンが追いかけてくる夢って、冷静に考えたら意味不明すぎる……。」

 とうとう暑さに耐えきれず目を覚ますと、視界には巨大なグラタンではなく見慣れた自室が広がった。

 だけどまだオーブンの中にいるような、締め付けてくるような暑さが……。

 もしかしてちゃんと起きられてなくて、夢の中にいるのかとも思ったけど……どうやら違うみたい。

 頬をつねると痛いし汗をかきすぎて逆に寒くて、ようやく今の状況がおかしい事に気付いた。

「い、今4月だよね……!? なのに何でこんな夏みたいに暑いの!?」

 今は春休みの真っ最中。新学期が始まるのは3日後で、夏休み明けの始業式とかでは断じてなかったはず。

 スマホで今日の日付を慌てて確認するも、画面にはやっぱり4/3と表示されている。しっかり春休みだ。