ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「なっ……ななな、何言ってんの? 一ノ瀬くん……?」

 私は慌ててしらを切った。心臓がバクバクと早鐘を打ち、額から汗がダラダラと滝のように流れてくる。

 まさか、超能力を使っているところを一ノ瀬くんに目撃されるなんて……。

 しかも、私が『超能力者』だとピンポイントで言い当てられるなんて……!

 夢にも思わなかった展開に、動揺が止まらない。

「わわわ、私が超能力者だなんてっ……。そっ、そんなの……何かの間違いじゃない?」

「俺も最初はそう思ったよ」

 一ノ瀬くんが私にぐっと顔を近づけてきた。

 こちらをまじまじと見つめる二つの鋭い目は、まるで心の奥底まで見透かそうとしているよう。

 パニックになっているのも相まって、私はその視線に射すくめられたように動けなくなった。

「でも、彩城が漫画の超能力者みたいに手をかざしただけで、男3人同時にフェンスに激突させてる瞬間を見ちゃったからさ……」

 一ノ瀬くんの声に熱がこもる。その際に、彼の瞳がほんの一瞬キラッと輝いたのを私は見逃さなかった。

 ……ヤバい。この人、完全に私の力に興味を持ってるな……。