ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

「んっ……」

 ひんやりとした硬い床と、鼻をつく埃っぽいにおいに、私は目を覚ます。

 真夏だというのに、体が芯から冷えている。きっと、長い間このコンクリートの床に横たわっていたせいだろう。

 それにしても、ここはいったいどこなんだろう……?

 あたりが暗くてよく見えない。人の気配もなくて、得体の知れない恐怖が背筋を這い上がってくる。

 起き上がって周囲を見わたそうとしたけれど、手足が動かなかった。もちろん体もびくともしない。

 目が暗さに慣れてきたところで、やっと自分の状態がわかった。手首と足首が結束バンドで縛られ、体をロープでぐるぐる巻きにされている。

 そういえば、予知能力が発動したときに垣間見た私も、まさにこんな状態で横たわってたな。

 つまり……結局私は未来を変えられなかった、っていうことか……。

 でも、落ち込んでいる場合じゃない。今は近くに誰もいないことだし、この隙に超能力を使ってロープを解いて逃げれば……。