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2022年9月18日(日) 午前0時45分/祖父の家
——コン……コン……。

——コン……コン……コン……。

何かが窓を叩く音がする。

ぼんやりとした意識の中で、その音が遠くから響いているのを感じた。

「……ん……?」

寝ぼけた頭で目を開ける。

暗闇の中、ぼんやりと天井が見えた。

(……夢……?)

一瞬、どこにいるのか分からなくなったが、布団の感触でようやく祖父の家にいることを思い出した。

体を起こそうとした——その瞬間。

——コン……コン……。

今度は、はっきりと聞こえた。

(……何の音……?)

眠気が一気に引いた。

耳を澄ませる。

家の中は静まり返っている。

祖父も裕也も寝ているはず。

だとしたら——。

(……窓の外?)

背筋に寒気が走る。

ゆっくりと、窓の方へ視線を向けた。

——そこに"影"があった。

月明かりがぼんやりと差し込む窓ガラス。

その向こうに、黒い影が立っていた。

(……あっ!)

影はぼやけていて、人のような形をしている。
けれど、何かが違う。

まるで靄のように輪郭が不鮮明で、風に揺れることもなく、じっと"こちらを見つめている"。

私は息を呑んだまま、布団の中で固まった。

(狒々だ。また出て来た?)

影は動かない。

——いや。

ほんのわずかに、カクッと首を傾けた。

(……こっちを、見てる……?)

鼓動が速くなる。

声を出そうとしても、喉がひりついて何も出なかった。

——コン……コン……コン……。

影が"窓を叩いた"。

一定のリズムで、ゆっくりと。

"何かを確かめる"ように。

——そして。

影が、"ガラス越しに顔を近づけてきた"。

私は本能的に目を逸らそうとした——が、一瞬、遅れた!?

影の存在感が異様に強すぎて、視界の端に"焼き付く"ような感覚がある。

(——やばい!! 大丈夫だったのだろうか??)

まるで、目が合ってしまったかのような錯覚。

息が詰まり、心臓が跳ね上がる。

影は、じっと"こちらを覗き込んでいる"ような気配がする。視線が突き刺さるように感じる。

目を見てはいけない——私はギリギリのところで視線を逸らしていた。

その瞬間、影の"口元"が、かすかに動いた気がした。

何かを囁こうとしている——。

だが、次の瞬間。

影は、ふっと"消えた"。

——静寂。

私はしばらく動けなかった。

(……今の、何……?)

幻覚だったのか? それとも——。

鼓動が早く、手のひらがじっとりと汗ばんでいた。

ようやく体を動かし、布団をめくる。

立ち上がり、隣の部屋へ向かった。

襖を開けると、裕也は目を覚ましていた。

「……今、誰かが窓の外にいた……」

私の震えた声に、裕也は「は?」と眉をひそめた。

「消えたけど……絶対にいたの」

私は震える手で、窓の方を指さした。

裕也は怪訝な顔をしながら、そっとカーテンを開けた。

そして——固まった。

「……おい、これ……」

窓の外の地面には、"泥のついた足跡"が残っていた。

確かに"何か"がここにいた証拠だった。いや、"何か"ではない。あの狒々だ。

私はごくりと息をのんだ。

(……本当にいた? でも……)

胸の奥に、嫌な予感がじわじわと広がっていく。

——まるで"これが終わりじゃない"と言われているような。