全て、終わった。
何もかも。
「沙良!」
「朝子…。」
病院内にある中庭のベンチに座る沙良の元へ、朝子は駆け寄った。
沙良の隣に座る。
少し間を置いてから、朝子は神妙な顔付きで口を開いた。
「自殺…しようとしたんだって…?」
その問いには答えず、沙良は困ったような顔をして笑った。
「過去ってね、重いけどさ。
あたしは、無くてはならないものだと思うんだ。」
朝子は空を見上げながら言った。
「色々あったけど。
今のあたしに辿り着くには、全部 必要だった。」
朝子を見る。
彼女は笑っていた。
キラキラと、輝いていた。
「今は辛いけど、一緒に頑張ろ?
あたしは沙良の味方だよ。」
ニッコリと笑う朝子に、沙良の鼻はツンと痛んだ。
「うん…。ありがとう…。」