「あたしさ〜、いっつも鶴見くんの隣に居る沙良が目障りだったんだよね〜。」



「てか、沙良に近付いたのも憂目当てだし?」



「しかもリスカとか、マジ無理なんですけど〜。」



罵倒は続いた。



どんなことを言われても、沙良は無視を決め込んでいた。



それが、物事をスムーズに運ぶ唯一の捌け口だと思っていたから。



咲子も朝子も隆史も口出しはしなかった。



…いや、気付かなかったのだ。



そのいじめは教師だけでなく、他の生徒でさえ気付かない巧妙なものだった。