「俺たちも行こうぜ」
「うん」
テラスも立ち上がる。
「昼食は中央施設の食堂でいいか?」
「いいよ。なんで?」
「そっちの方が、あいつが来る確率が低そうだから」
「なるほど」
そして2人は中央施設の食堂へ向かった。
「それにしても、驚いた」
タキノリが言う。
「なにが?」
聞き返すテラス。
「アンセムさんを誘ったこと」
「なんで?」
表情も変えず更に聞き返されて、タキノリは眉間にしわを寄せた。
「あの人が関わるから、あいつに狙われてるって、理解してるのかよ」
「してるってば」
「じゃぁ、なんでわざわざ誘うんだよ」
「だって、友達だもん。友達と一緒に食事するの普通でしょ?」
当たり前でしょって感じでテラスは言うのである。
「あのさ、もしかして…」
タキノリは少し躊躇しながらも聞くことにした。
「テラスはアンセムさんのこと好きなのか?」
イヤに緊張する質問だ。変な汗が出る。
「うん。好きだよ」
サラっと普通に答えるテラス。
「ええ!?マジ!?」
驚愕のタキノリ。
「なんでそんな驚くの?…って、あ、好きってそういう好きじゃないよ」
日頃のアンセムとの会話で、テラスも恋愛の話題が少しわかるようになってき。
「なんだよ…紛らわしいヤツだなぁ」
「まぁ…ああいう人だからトラブル多そうだけど、気遣いが細やかなんだ。
最初は、なんだこの人って思ったけど、今はアンセム独特のからかい方にも慣れたし、優しい人だから、そういうところ好きかな」
「細やかって、俺へのあてつけか?」
「なにが?」
「俺、超大雑把だから」
「あはは、タキノリのそういうところ好きだよ」
にっこり笑うテラス。
「そうそう、随分前に、アンセムから『好きな男はいるのか?』って聞かれたことがあって、そのときタキノリのこと話したんだよね」
「は、はぁ!?」
唐突な話題に狼狽するタキノリ。
「なんで俺なわけ?」
「だってタキノリといると楽しいし。タキノリのとりあえず行動って性格も好きだよ」
「あ、ありがとな」
動揺しつつ、タキノリはお礼を言った。正面から褒められると落ち着かない。
「その好きってのは、やっぱり友達ってことだよな」
ドキドキしながら聞く。
なんだ、この動悸は。
「そうだよ」
しかし、これもあっさりと肯定するテラスである。
タキノリはホッとしたような残念なような気持ちだった。
2人は中央施設の食堂につき、それぞれ好きなものを注文し、席まで運ぶ。
「さっきの話の続きなんだけどね」
2人が席について食べ始めてから、テラスが言った。
「タキノリには好きな女の人っているの?」
ぶっ!
すすりかけの麺を噴き出すタキノリ。
「わ!汚い!」
「いきなりなんちゅー質問だよ、それ」
今まで恋愛の「れ」の字も興味がなかったテラスから、まさかそんな質問がくるとは予想もしていなかった。
「アンセムに好きな男がいるかどうか聞かれたとき、タキノリのこと話したら、じゃぁタキノリには好きな人がいるのかって聞かれたんだよね。
そう言えば、そういう話聞いたことないな~と思って」
「俺だって好きな女くらい、いたよ」
「そうなんだ~」
ちょっと驚くテラス。
でも、当然のことか。
「どんな人?結婚するの?」
「テラスが恋愛話に興味を持つのは成長かもしれないけど、こういう話はデリケートなんだから、根掘り葉掘り聞くもんじゃねーよ」
そして麺を啜るタキノリ。
「教えてくれないんだー」
「教えるも何も、過去形だからな」
「過去形って?」
「だから、付き合ってたけど別れたってことだよ。今はいない」
「そうなんだ。そういうことも、あるよね…」
「そうそう、色々あるわけ」
そして2人はしばらく無言で食事を続けた。
「ねぇ、付き合うってどんな感じ?友達と恋人ってどう違うの?」
ぶっ!
またまた唐突に質問され、今度は飲んでいたスープを噴き出すタキノリ。
「汚いなぁ」
「誰のせいだ誰の」
自分の口と汚れたテーブルを拭きながら言うタキノリ。
「そういう話題は苦手だ。アイリとでもしてろよ」
「アイリにはもうたくさん聞いてるもん。他の人の話聞きたい」
「じゃあユキナでもキラでも誰でもいいだろ」
「今、目の前にいるのタキノリだけだし」
「俺は恋話は苦手なんだよ」
そして残りのスープをゴクゴク飲み干す。
「だったら好きな人がいた、なんて言わなきゃいーのに」
ぶーぶー文句を言うテラス。
「まさかテラスから突っ込みが入るとは思わなかったからま。今までそんな話題、むしろ自ら避けてたじゃねーか」
「そうなんだけどさ。
アンセムといろんなこと話してると、その中で人を好きになるって話題もあるわけで、なんか考えさせられちゃったんだよね」
「ふ~ん」
2人が何を話したのか、実はとても気になるタキノリである。
「アイリとライキスみたいに、お互いのことが好きで大事にできたら、一番いいよね」
しみじみと言うテラス。
「あんないいもんじゃなかったぜ」
タキノリは言った。
「え?」
「いや、なんでもない」
「言いかけて止めるのは男らしくな~い」
「口が滑った」
「教えてよ。私これでも結構真剣に考えてるんだから」
「…だから、好きな女と付き合えたけど、大していいもんじゃなかったってことだよ」
「それじゃ何もわからないんだけど。具体的にお願いします」
「はぁ」
ため息をつくタキノリ。テラスが質問魔なのは、今に始まったことではない。
「じゃぁ上手に聞き出してみろよ」
「え!?…え~と、好きになった人ってどんな人?」
「就業教育が同じ服飾の人だよ。学年も同じ」
ぶっきらぼうに答えるタキノリ。
「で、どんなところが好きだったの?」
「まず容姿かな。小柄で可愛かった。
話しも割と弾んだし、付き合おうかって話にすぐなった」
「へー!知らなかった!
で、何がいいもんじゃなかったの?好きな人と一緒にいると楽しいんじゃないの?」
「最初はね、まぁまぁ楽しかったけどさ。
彼女と会ってると、俺が好きなことやる時間が減るんだよな。それがイヤで、マイペースにやってたら振られた」
「はぁ…」
「他に質問は?」
「あのね、好きな人とは会いたくなるものじゃないの?」
素朴な疑問だった。
「24時間ずっと一緒にいたいわけじゃねーだろ」
「そりゃそっか…。でも、私好きって気持ちがわからないから、タキノリの言ってることも、良くわからないや」
考え込むテラス。
「おお、本当に真面目に考えてるんだな」
「ねぇ、友達の好きと、恋人の好きって何が違うの?」
アンセムにしたのと同じ質問をしてみる。
「さぁ…」
「わからないの?その付き合ってた人と、私は何が違うの?」
「テ、テラスと比べるのか!?」
「いや、私じゃなくてもいいんだけど」
「う~ん…」
タキノリも考え込んだ。
「相手の女の子が俺に好意があるかどうかの差…かなぁ」
「え!?それってタキノリじゃなくって、相手の人の気持ちでしょう?」
「いや~、男は割りと女の子からの好意を感じると、急に意識しちゃったりするんじゃねーの?」
「良くわからない…」
自分の気持ちはどこにあるんだ?
「結局、もしかしたら俺は相手のことをそこまで好きじゃなかったのかもしれねーな」
「ええ!?」
またまた驚愕のテラス。
「タキノリもアンセムと同じ?」
「どーゆー意味だよ」
タキノリはムッとした。
「気持ちがなくても、その…キスとかできちゃうの?」
「よもやテラスの口からそんな単語が出ようとは」
タキノリも驚く。そして再び考え込んだ。
「う~~~~~ん…。アンセムさんと同列視されると辛いけど、きっとめちゃくちゃ好きじゃなくても、ある程度好きならできるんじゃねーかな」
「はぁ~…そうなんだ…」
しばらくテラスは呆然とする。
「そんなショック受けることかよ。聞いてきたのはテラスだぞ」
「いや、いいんだけどさ。はぁ~」
まったく男は良くわからない。
「だからアンセムはあんなこと言ったのかな。だったら納得」
「あんなことってなんだよ」
意味深な言い方が、非常に気になる。
「タキノリの話題が出たとき、試しに付き合ってみれば?って言われたんだよね」
「はぁ!?」
思わず大きな声が出てしまうタキノリ。
「一番好きな男と恋愛してみれば、少しは好きな気持ちがわかるんじゃないかって言われた」
「そ、そうかよ」
「男の人は好きじゃなくても付き合うことができるのかな」
「男がってわけじゃねーだろ。女だっているだろ、そういうの」
「そっか、そうなのかも」
「でもテラスはできないんだろ」
タキノリはテラスをまじまじと見て言う。
「テラスにその気があるなら、テラスと恋愛してみてもいいと思うぜ。俺は」
「そんな軽々しく言う?」
「軽くは言ってねーよ。でも、そういうことテラスはできないって知ってるから言えるんだけどな」
「その通り」
自分の気持ちがわからなければ、相手との仲を深められるわけがないのだ。
「人を好きになるって実は難しいことなのかな~。やっぱり、考えてもわからないことは面倒だな」
「そうだな…」
タキノリはテラスを見る。
テラスは少し変わった。
ほんの少しだが、恋愛に興味が出てきたようだった。
それがもし、アンセムとの関りがきっかけだとしたら、なんだか面白くないタキノリである。
しかし、なぜ自分がそう思うのかまでは考えが及ばないのであった。
タキノリも恋愛について考え込むことが苦手なのである。
「うん」
テラスも立ち上がる。
「昼食は中央施設の食堂でいいか?」
「いいよ。なんで?」
「そっちの方が、あいつが来る確率が低そうだから」
「なるほど」
そして2人は中央施設の食堂へ向かった。
「それにしても、驚いた」
タキノリが言う。
「なにが?」
聞き返すテラス。
「アンセムさんを誘ったこと」
「なんで?」
表情も変えず更に聞き返されて、タキノリは眉間にしわを寄せた。
「あの人が関わるから、あいつに狙われてるって、理解してるのかよ」
「してるってば」
「じゃぁ、なんでわざわざ誘うんだよ」
「だって、友達だもん。友達と一緒に食事するの普通でしょ?」
当たり前でしょって感じでテラスは言うのである。
「あのさ、もしかして…」
タキノリは少し躊躇しながらも聞くことにした。
「テラスはアンセムさんのこと好きなのか?」
イヤに緊張する質問だ。変な汗が出る。
「うん。好きだよ」
サラっと普通に答えるテラス。
「ええ!?マジ!?」
驚愕のタキノリ。
「なんでそんな驚くの?…って、あ、好きってそういう好きじゃないよ」
日頃のアンセムとの会話で、テラスも恋愛の話題が少しわかるようになってき。
「なんだよ…紛らわしいヤツだなぁ」
「まぁ…ああいう人だからトラブル多そうだけど、気遣いが細やかなんだ。
最初は、なんだこの人って思ったけど、今はアンセム独特のからかい方にも慣れたし、優しい人だから、そういうところ好きかな」
「細やかって、俺へのあてつけか?」
「なにが?」
「俺、超大雑把だから」
「あはは、タキノリのそういうところ好きだよ」
にっこり笑うテラス。
「そうそう、随分前に、アンセムから『好きな男はいるのか?』って聞かれたことがあって、そのときタキノリのこと話したんだよね」
「は、はぁ!?」
唐突な話題に狼狽するタキノリ。
「なんで俺なわけ?」
「だってタキノリといると楽しいし。タキノリのとりあえず行動って性格も好きだよ」
「あ、ありがとな」
動揺しつつ、タキノリはお礼を言った。正面から褒められると落ち着かない。
「その好きってのは、やっぱり友達ってことだよな」
ドキドキしながら聞く。
なんだ、この動悸は。
「そうだよ」
しかし、これもあっさりと肯定するテラスである。
タキノリはホッとしたような残念なような気持ちだった。
2人は中央施設の食堂につき、それぞれ好きなものを注文し、席まで運ぶ。
「さっきの話の続きなんだけどね」
2人が席について食べ始めてから、テラスが言った。
「タキノリには好きな女の人っているの?」
ぶっ!
すすりかけの麺を噴き出すタキノリ。
「わ!汚い!」
「いきなりなんちゅー質問だよ、それ」
今まで恋愛の「れ」の字も興味がなかったテラスから、まさかそんな質問がくるとは予想もしていなかった。
「アンセムに好きな男がいるかどうか聞かれたとき、タキノリのこと話したら、じゃぁタキノリには好きな人がいるのかって聞かれたんだよね。
そう言えば、そういう話聞いたことないな~と思って」
「俺だって好きな女くらい、いたよ」
「そうなんだ~」
ちょっと驚くテラス。
でも、当然のことか。
「どんな人?結婚するの?」
「テラスが恋愛話に興味を持つのは成長かもしれないけど、こういう話はデリケートなんだから、根掘り葉掘り聞くもんじゃねーよ」
そして麺を啜るタキノリ。
「教えてくれないんだー」
「教えるも何も、過去形だからな」
「過去形って?」
「だから、付き合ってたけど別れたってことだよ。今はいない」
「そうなんだ。そういうことも、あるよね…」
「そうそう、色々あるわけ」
そして2人はしばらく無言で食事を続けた。
「ねぇ、付き合うってどんな感じ?友達と恋人ってどう違うの?」
ぶっ!
またまた唐突に質問され、今度は飲んでいたスープを噴き出すタキノリ。
「汚いなぁ」
「誰のせいだ誰の」
自分の口と汚れたテーブルを拭きながら言うタキノリ。
「そういう話題は苦手だ。アイリとでもしてろよ」
「アイリにはもうたくさん聞いてるもん。他の人の話聞きたい」
「じゃあユキナでもキラでも誰でもいいだろ」
「今、目の前にいるのタキノリだけだし」
「俺は恋話は苦手なんだよ」
そして残りのスープをゴクゴク飲み干す。
「だったら好きな人がいた、なんて言わなきゃいーのに」
ぶーぶー文句を言うテラス。
「まさかテラスから突っ込みが入るとは思わなかったからま。今までそんな話題、むしろ自ら避けてたじゃねーか」
「そうなんだけどさ。
アンセムといろんなこと話してると、その中で人を好きになるって話題もあるわけで、なんか考えさせられちゃったんだよね」
「ふ~ん」
2人が何を話したのか、実はとても気になるタキノリである。
「アイリとライキスみたいに、お互いのことが好きで大事にできたら、一番いいよね」
しみじみと言うテラス。
「あんないいもんじゃなかったぜ」
タキノリは言った。
「え?」
「いや、なんでもない」
「言いかけて止めるのは男らしくな~い」
「口が滑った」
「教えてよ。私これでも結構真剣に考えてるんだから」
「…だから、好きな女と付き合えたけど、大していいもんじゃなかったってことだよ」
「それじゃ何もわからないんだけど。具体的にお願いします」
「はぁ」
ため息をつくタキノリ。テラスが質問魔なのは、今に始まったことではない。
「じゃぁ上手に聞き出してみろよ」
「え!?…え~と、好きになった人ってどんな人?」
「就業教育が同じ服飾の人だよ。学年も同じ」
ぶっきらぼうに答えるタキノリ。
「で、どんなところが好きだったの?」
「まず容姿かな。小柄で可愛かった。
話しも割と弾んだし、付き合おうかって話にすぐなった」
「へー!知らなかった!
で、何がいいもんじゃなかったの?好きな人と一緒にいると楽しいんじゃないの?」
「最初はね、まぁまぁ楽しかったけどさ。
彼女と会ってると、俺が好きなことやる時間が減るんだよな。それがイヤで、マイペースにやってたら振られた」
「はぁ…」
「他に質問は?」
「あのね、好きな人とは会いたくなるものじゃないの?」
素朴な疑問だった。
「24時間ずっと一緒にいたいわけじゃねーだろ」
「そりゃそっか…。でも、私好きって気持ちがわからないから、タキノリの言ってることも、良くわからないや」
考え込むテラス。
「おお、本当に真面目に考えてるんだな」
「ねぇ、友達の好きと、恋人の好きって何が違うの?」
アンセムにしたのと同じ質問をしてみる。
「さぁ…」
「わからないの?その付き合ってた人と、私は何が違うの?」
「テ、テラスと比べるのか!?」
「いや、私じゃなくてもいいんだけど」
「う~ん…」
タキノリも考え込んだ。
「相手の女の子が俺に好意があるかどうかの差…かなぁ」
「え!?それってタキノリじゃなくって、相手の人の気持ちでしょう?」
「いや~、男は割りと女の子からの好意を感じると、急に意識しちゃったりするんじゃねーの?」
「良くわからない…」
自分の気持ちはどこにあるんだ?
「結局、もしかしたら俺は相手のことをそこまで好きじゃなかったのかもしれねーな」
「ええ!?」
またまた驚愕のテラス。
「タキノリもアンセムと同じ?」
「どーゆー意味だよ」
タキノリはムッとした。
「気持ちがなくても、その…キスとかできちゃうの?」
「よもやテラスの口からそんな単語が出ようとは」
タキノリも驚く。そして再び考え込んだ。
「う~~~~~ん…。アンセムさんと同列視されると辛いけど、きっとめちゃくちゃ好きじゃなくても、ある程度好きならできるんじゃねーかな」
「はぁ~…そうなんだ…」
しばらくテラスは呆然とする。
「そんなショック受けることかよ。聞いてきたのはテラスだぞ」
「いや、いいんだけどさ。はぁ~」
まったく男は良くわからない。
「だからアンセムはあんなこと言ったのかな。だったら納得」
「あんなことってなんだよ」
意味深な言い方が、非常に気になる。
「タキノリの話題が出たとき、試しに付き合ってみれば?って言われたんだよね」
「はぁ!?」
思わず大きな声が出てしまうタキノリ。
「一番好きな男と恋愛してみれば、少しは好きな気持ちがわかるんじゃないかって言われた」
「そ、そうかよ」
「男の人は好きじゃなくても付き合うことができるのかな」
「男がってわけじゃねーだろ。女だっているだろ、そういうの」
「そっか、そうなのかも」
「でもテラスはできないんだろ」
タキノリはテラスをまじまじと見て言う。
「テラスにその気があるなら、テラスと恋愛してみてもいいと思うぜ。俺は」
「そんな軽々しく言う?」
「軽くは言ってねーよ。でも、そういうことテラスはできないって知ってるから言えるんだけどな」
「その通り」
自分の気持ちがわからなければ、相手との仲を深められるわけがないのだ。
「人を好きになるって実は難しいことなのかな~。やっぱり、考えてもわからないことは面倒だな」
「そうだな…」
タキノリはテラスを見る。
テラスは少し変わった。
ほんの少しだが、恋愛に興味が出てきたようだった。
それがもし、アンセムとの関りがきっかけだとしたら、なんだか面白くないタキノリである。
しかし、なぜ自分がそう思うのかまでは考えが及ばないのであった。
タキノリも恋愛について考え込むことが苦手なのである。



