珍しく、ジェイ・リーブスの方から連絡が来た。
取り次いできたケイン・キーメンスからは、
「取り敢えず、こちらに来て貰えれば直接話す、と書いています」と説明された。
ジェイは王城に居るテリオスにではなく、その護衛をしている寮暮らしのケインに手紙を送ってきたと言う。
王太子宛の書状は、必ず検閲を受ける。
それを避けたかったのだろう。
差出人の、今では平民のジェイは去年まで伯爵家の嫡男で、王太子のテリオスと、こちらもまた今では平民かつては侯爵令息のケインとは、貴族学院で親しく過ごしてきた友人であった。
とは言え現状では、片や王太子、片や平民である。
決して暇ではない王太子を、地方の自分の家まで呼びつけるとは……
「何の用だろうな? もしかして、やっぱり貴族に戻りたいです。
爵位ちょうだい、かな?」
「……それは、あいつに限っては無い、かと」
第2王子の取り巻きと呼ばれていた学友達は、卒業後は側に置かないとしていたテリオスも、ケインは真面目で信頼出来る男なので、このままでは勿体無いと市井に居た彼を探し出して側に付かせているのだが。
如何せん、ケインは真面目過ぎて返答に面白味がない。
それ故、魅了の魔力を持った男爵令嬢に誘惑されて、婚約破棄で目が覚めたケインは自ら勘当を願い出て侯爵家を出たのだが。
元婚約者も、父親も、まだ彼を諦めてはいなかった。
いつかは復縁を、とどちらもテリオスに訴状が出ているのだが、ケイン本人が未だに自分を許せないから、と固辞している。
取り次いできたケイン・キーメンスからは、
「取り敢えず、こちらに来て貰えれば直接話す、と書いています」と説明された。
ジェイは王城に居るテリオスにではなく、その護衛をしている寮暮らしのケインに手紙を送ってきたと言う。
王太子宛の書状は、必ず検閲を受ける。
それを避けたかったのだろう。
差出人の、今では平民のジェイは去年まで伯爵家の嫡男で、王太子のテリオスと、こちらもまた今では平民かつては侯爵令息のケインとは、貴族学院で親しく過ごしてきた友人であった。
とは言え現状では、片や王太子、片や平民である。
決して暇ではない王太子を、地方の自分の家まで呼びつけるとは……
「何の用だろうな? もしかして、やっぱり貴族に戻りたいです。
爵位ちょうだい、かな?」
「……それは、あいつに限っては無い、かと」
第2王子の取り巻きと呼ばれていた学友達は、卒業後は側に置かないとしていたテリオスも、ケインは真面目で信頼出来る男なので、このままでは勿体無いと市井に居た彼を探し出して側に付かせているのだが。
如何せん、ケインは真面目過ぎて返答に面白味がない。
それ故、魅了の魔力を持った男爵令嬢に誘惑されて、婚約破棄で目が覚めたケインは自ら勘当を願い出て侯爵家を出たのだが。
元婚約者も、父親も、まだ彼を諦めてはいなかった。
いつかは復縁を、とどちらもテリオスに訴状が出ているのだが、ケイン本人が未だに自分を許せないから、と固辞している。



