最愛から2番目の恋

 あれから、夫クラシオンと側妃マリツァからの動きは無く。
 ガートルードを取り巻く状況に変わりも無く。
 全ては、小康状態を保っていた。


 小康状態、と言えば。
 アストリッツァ王妃の病状にも変わりはないのだろう。
 ガートルードには、まだ異変の報せはないが、テレサにはいざと言う時、直ぐに動けるように準備だけはさせている。
 いくらお飾りとは言え、王太子の正妃だ。
 危篤となれば、連絡は来るだろう。

 

 そんな中、アヴァロン・カッツェがドレスを届けに来た。
 発注から僅か18日。
 人間はその気になれば、出来るものである。 
 この根性だけでも、彼をカリスレキアに紹介してやろう、という気にもなる。


「いいわね、素晴らしいわ」

 目の前に広げられたドレスに感嘆の声を挙げたのは、ガートルードだけではない。
 彼女のお付きのメイド達、そしてテレサも頬を紅潮させている。