アストリッツァの王太子妃になるはずだったガートルードとクロスティアの王太子テリオスとの婚約が、当初のクラシオンとの婚姻日より以前に内定していたと、国内第1の権勢を誇るヴァルチ公爵が認めた事で、ガートルードは既に王太子妃殿下と呼ばれなくなっていた。
それでも今も尚、彼女やテリオスは、レオニード本邸に留まり続け、以前と変わることなく使用人達にかしづかれ、世話をされていた。
カリスレキア第2王女のガートルードが、アストリッツァ宰相の娘であるアレッサンドラの被害者であり、その傷の治療中でもあったからだが。
第1の理由は、長男セシオン、三女サレンディラと共に、クロスティア在住の癒しの聖女の元へ旅立つステファノ・ヴァルチが、己の妻に
「呉々も王女殿下の傷が癒えるまではお世話を続けるように」と重々頼んでいたからだった。
「テリオス様があれ程、セシオン公子自身が公女を連れていくように、と繰り返したのは。
彼の傷も聖女様に診ていただきたかったからだと、公爵も気が付かれたのですよね?」
「……そうかな、ステファノは保身のためかもしれない」
「いいえ、結局はご本人も深手の怪我をされていた公爵にも同行して、聖女様に診ていただくように勧められたのでしょう?
それに彼は帰国したら、貴方の仰せの通り公子に譲位をすると仰っていたそうですよ?」
「老いたライオン、は言い過ぎたな。
恨まれていないかな」
それでも今も尚、彼女やテリオスは、レオニード本邸に留まり続け、以前と変わることなく使用人達にかしづかれ、世話をされていた。
カリスレキア第2王女のガートルードが、アストリッツァ宰相の娘であるアレッサンドラの被害者であり、その傷の治療中でもあったからだが。
第1の理由は、長男セシオン、三女サレンディラと共に、クロスティア在住の癒しの聖女の元へ旅立つステファノ・ヴァルチが、己の妻に
「呉々も王女殿下の傷が癒えるまではお世話を続けるように」と重々頼んでいたからだった。
「テリオス様があれ程、セシオン公子自身が公女を連れていくように、と繰り返したのは。
彼の傷も聖女様に診ていただきたかったからだと、公爵も気が付かれたのですよね?」
「……そうかな、ステファノは保身のためかもしれない」
「いいえ、結局はご本人も深手の怪我をされていた公爵にも同行して、聖女様に診ていただくように勧められたのでしょう?
それに彼は帰国したら、貴方の仰せの通り公子に譲位をすると仰っていたそうですよ?」
「老いたライオン、は言い過ぎたな。
恨まれていないかな」



