わたしが貴方を救えた?
テリオスからそう言われて、ガートルードは上掛けから顔を出した。
だが、その話を彼が続けないので、別の話題に変える事にした。
男性と、特にテリオスとは恋愛の話はしない方がいい。
自分が何を言い出すか、自信が無い。
無意識とは言え「わたしの愛するひと」やら口走ってしまった事は、これ以上は勘弁して欲しい。
「君を失えば」だの。
「世を儚んで」だの。
そんな言葉も聞こえたような気もするが、多分それは空耳だ。
わたしは上掛けを頭から被っていたんだから。
多分……絶対に聞き間違い。
「テリオス様が指を?
剣をずっと振っていらしたでしょう」
「さすがにあの長剣では……、これを陛下から渡された」
頷きながら、彼はガートルードの枕元に手を伸ばし、細身の小刀を取り出して見せた。
それは銀製の柄にサファイアが嵌め込まれた逸品で、父が守り刀として携行している何本かの宝剣の内の1本だった。
「君が嫁入りする際には、これを渡すつもりだった、と教えてくださった」
「……わたしが子供の頃から、これが欲しいと……
よくおねだりしていたから」
ずっと幼い頃から、欲しいと父にねだった宝剣で。
ずっと好きだったひとに、左手の薬指を切り落とされた。
テリオスからそう言われて、ガートルードは上掛けから顔を出した。
だが、その話を彼が続けないので、別の話題に変える事にした。
男性と、特にテリオスとは恋愛の話はしない方がいい。
自分が何を言い出すか、自信が無い。
無意識とは言え「わたしの愛するひと」やら口走ってしまった事は、これ以上は勘弁して欲しい。
「君を失えば」だの。
「世を儚んで」だの。
そんな言葉も聞こえたような気もするが、多分それは空耳だ。
わたしは上掛けを頭から被っていたんだから。
多分……絶対に聞き間違い。
「テリオス様が指を?
剣をずっと振っていらしたでしょう」
「さすがにあの長剣では……、これを陛下から渡された」
頷きながら、彼はガートルードの枕元に手を伸ばし、細身の小刀を取り出して見せた。
それは銀製の柄にサファイアが嵌め込まれた逸品で、父が守り刀として携行している何本かの宝剣の内の1本だった。
「君が嫁入りする際には、これを渡すつもりだった、と教えてくださった」
「……わたしが子供の頃から、これが欲しいと……
よくおねだりしていたから」
ずっと幼い頃から、欲しいと父にねだった宝剣で。
ずっと好きだったひとに、左手の薬指を切り落とされた。



