両親を出迎えるため、クイーネと本邸の馬車寄せに近付くと、既に王妃の兄であるヴァルチ公爵とその一族、共に王家を支えてきた宰相クイーネ家、近衛隊長リーヴァ家の面々が顔を揃えていた。
帰ってしまった王太子に代わり、自分が締めの挨拶をすると言い張るので、宰相との打ち合わせから閉め出したステファノ・ヴァルチからは鋭い視線を向けられた。
彼の両隣には、後継者の長男セシオンと。
公爵夫人ではなく、甥クラシオンの正妃にしたいと目論む三女サレンディラが並んでいる。
今回は、番だと有名な側妃予定のマリツァが居ないから、クラシオンの両隣に正妃と並ばせるつもりだったか。
この儀式でステファノは、王家の地元ガレンツァで有力者達に、我が娘こそが真の王太子妃、とデビュタント前のサレンディラの顔を売っておきたかったのだと読めた。
公子セシオンと公女サレンディラ自身は対抗意識など無いようで、ガートルードに微笑みを向けていて、感じがいい。
彼女はまだ14歳だが可憐な姫で、将来はそれはそれは美しい女性に成長するだろう。
地味で華の無いガートルードと並べて、ステファノはお飾りを下げたかったのか。
だが、残念ながら2人を比べるクラシオンはこの場に居ない。
最愛の番に会えない辛さに儀式を放り出して、王都に戻ってしまったのだ。
何食わぬ顔をしたガートルードが頭を下げると、皆が同様に一斉に頭を下げた。
彼等が心の内では、お飾りの王太子妃に対してどんな思いを抱えているのかは推して知るべしだが、もう直ぐカリスレキアの馬車が到着する。
他国の王族の前で、その姫を侮っているように見せてはならない事は承知しているようだ。
帰ってしまった王太子に代わり、自分が締めの挨拶をすると言い張るので、宰相との打ち合わせから閉め出したステファノ・ヴァルチからは鋭い視線を向けられた。
彼の両隣には、後継者の長男セシオンと。
公爵夫人ではなく、甥クラシオンの正妃にしたいと目論む三女サレンディラが並んでいる。
今回は、番だと有名な側妃予定のマリツァが居ないから、クラシオンの両隣に正妃と並ばせるつもりだったか。
この儀式でステファノは、王家の地元ガレンツァで有力者達に、我が娘こそが真の王太子妃、とデビュタント前のサレンディラの顔を売っておきたかったのだと読めた。
公子セシオンと公女サレンディラ自身は対抗意識など無いようで、ガートルードに微笑みを向けていて、感じがいい。
彼女はまだ14歳だが可憐な姫で、将来はそれはそれは美しい女性に成長するだろう。
地味で華の無いガートルードと並べて、ステファノはお飾りを下げたかったのか。
だが、残念ながら2人を比べるクラシオンはこの場に居ない。
最愛の番に会えない辛さに儀式を放り出して、王都に戻ってしまったのだ。
何食わぬ顔をしたガートルードが頭を下げると、皆が同様に一斉に頭を下げた。
彼等が心の内では、お飾りの王太子妃に対してどんな思いを抱えているのかは推して知るべしだが、もう直ぐカリスレキアの馬車が到着する。
他国の王族の前で、その姫を侮っているように見せてはならない事は承知しているようだ。



