最愛から2番目の恋

 「今、わたしまで帰国してしまったら、その方が後々大変になります。
 精々、責任感の強いお飾りの評価を高めてやります。
 貴方は責任を持ってメイド達を帰す、と仰せになった。
 そこに、わたしとテレサ、メイド2名を加えてくださいませ」

「……分かった、俺はこれから帰る。
 その約束は必ず守る。
 クイーネだけには、言ってお……」

「いえ、時間がありません、明日わたしから伝えます。
 あそこで控えているホレイシァを伴って、直ぐにご出立なさってください。
 それと最後に……」

 妻の言葉に頷いて、信頼している宰相にだけでも知らせようとしたクラシオンの服を咄嗟に掴んでしまったガートルードだ。


「この2つだけ、教えてください。
 クイーネ家は、4神虫獣家のどこの家門に居たのですか?
 アレッサンドラとは、この国ではありふれた名前ですか?」

 クラシオンが語ったレオニード王家の祖、ブロディアスの罪。
 彼が騙して利用したティグルーの公女の名前が、アレッサンドラ。
 自分の世話役に就いた宰相クイーネの養女の名も、アレッサンドラだ。
 これがただの偶然かを、ガートルードは聞きたかったのだ。