恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「よー!お二人さん、新規顧客獲得だって?」

その日の夜。
日向はいつもの居酒屋に日和を連れて来た。
4人用の個室に遅れて現れた慎一と椿が、何やらニヤニヤと二人を見比べる。

「いいから、とにかく座れ」

日向に促されて、慎一と椿もビールをオーダーする。
運ばれてくると、早速4人で乾杯した。

「お疲れ様ー!ひよちゃんと一緒に飲めるなんて嬉しい」
「私もです、椿さん。研修中はお世話になりました。飯田さんも」

日和は日向の隣で頭を下げる。

「ううん、ひよちゃんがいてくれてうちも助かってたし。あーあ、パブリッシングに配属されてほしかったなあ」
「それを言うなら、うちのデジタルソリューションに来てほしかったよ。ひよちゃん、よりによってなんで日向の営業部なんかに?」
「そうよー。大丈夫?ひよちゃん。日向にいじわるされてない?」

おい!と日向が突っ込むが、椿も慎一も意に介さない。

「全くそんなことないです。佐野さんには本当にお世話になっています」
「そうなの?まあ、二人で新規クライアントをゲットしたってことは、上手くいってる証拠かもしれないけど。あのアパレルブランド、うちが扱ってる雑誌でもよく特集組まれてるわよ」

椿がそう言うと、日向が真剣な口調で話し始めた。

「その話をしたくて二人を呼んだんだ。慎一、今度担当者として一緒に先方に行ってくれるか?実際に画像補正を詳しく実践してほしい。それから椿、あのブランドについて教えてくれ。ターゲットとかポリシーとか」

そういうことなら、と二人は快諾した。
料理をつまみながら、4人で熱心に相談する。
日和は話を聞きながらノートに情報を書き込んでいった。