敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜

会社の帰り道、足早に駅へ向かっていた私の背後に、誰かの気配を感じた。

「茉莉、久しぶり。元気?」

軽い調子でそう声をかけられた瞬間、胸がざわつく。振り返った先に立っていたのは京介だった。

どうして今さら彼が? 頭の中で警戒のベルが鳴る。

「……どうしてここに?」

できるだけ冷静に問いかけるけれど、声は少し震えていた。京介は肩をすくめて笑う。

その表情には、どこか昔の、優しかった頃の面影が残っていて私は息を飲んだ。

「話したいことがあるんだ。少しだけ時間、くれない?」

嫌な予感はしていた。けれど、ずっとずっと望んでも見れなかった彼の優しい笑顔は私を捕らえて離さない。

「……少しなら」

迷いながらもそう答え、私たちは近くの居酒屋に移動することになった。