「嫌よ。」 そう言って私は、 目の前の本を閉じた。 暖かい春。 珍しく父親の秘書が 私の部屋へ訪れたかと思うと これだ・・・ 私はクルリと椅子を回し、 秘書・神楽と向かい合った。 「ですが、和音様。 お見合いは決定事項です。」 そう言う神楽の顔は 無表情で面白みがない。 だから嫌い。 一緒にいて、 騙しがいがないもの。