「あたしさ、バイトやめたんだよね。
しかも家事全くしないから、隼士が嫌になったんだろうね。
あっさりふられたの。」


全くの作り話だけど、二人は信じ込んでた。

それどころか、

「一人で寂しいでしょ!?」

「クラブ行こうよ!!」

と、なぜか楽しそうに誘ってくる。


「大丈夫だって!杏ちゃんなら、すぐ彼氏できるよ!」

――いやいや、欲しいとか言ってないし。


「あたし思ってたんだけどさあ、ゼミに杏ちゃん狙ってる奴いるって!」

――でた。そこまで励ましてくれんでいいわ!



チャキもナツも、私が振られたと知って大はしゃぎじゃん。


ま、女の友情なんてこんなもんでしょ。



三人で放課後のプランを決めてたら、
結衣が通った。


「あ、結衣!!」

結衣に手を振ると、結衣も笑って手を振り返してきた。


…‥と思ったら、手招きだったみたい。

私が駆け寄ると、結衣は真剣な顔をした。



「上手くやってんの?翔平くんと。」


「……‥う……‥うん。」


「どっち?」


「えっと……‥。」


私が言葉を探していると、
結衣にポンと肩を叩かれた。


「土曜日、家に来て。」


「あ、うん。」


結衣は軽く微笑んで人混みをすり抜けて歩いて行った。



テーブルに戻ると、
チャキとナツが不思議そうな目をしてた。


「何?」

私が聞くと、

「何で結衣ちゃんと仲良くなったの?」

と、ナツ。


「高校同じで…」


「なんか、いかにもって感じしない?!」

私が言い終わる前にチャキが言う。


「わかる〜!!一人で生きて行けますって感じ!!なんか、周りをバカにしてる感じ。」


「そう!しかも、性格の悪さが顔に出てる!!」


二人で意気投合してるし。


女の子が仲良くなるきっかけって、たいがいが悪口だったりする。