「あとで!」

しつこく聞いて来るナツの腕を払って、
私は講義に集中した。



講義は藤木さんのおかげで楽しかった。

久しぶりに見た藤木さんは、やっぱり冷たそうでかっこよかった。



―――――――…‥‥


「あー。でも、まだ左手薬指が光ってた。
あんなとこにタトゥー入れたってカッコ悪いのに!」


食堂の親子丼を食べながら、いつものようにデカい声で藤木さんの話をする私。


「あたしには指輪に見えるけどね。」

真正面に座るチャキが意地悪そうに笑う。


――そんなの分かってるわ。


「それより何で別れたの?」

ナツは私の隣を離れない。



「うえっ!?別れた?!」


チャキまで目を丸くして食いついてきた。


――あーもう。

私はため息をついて話はじめた。