――――――……‥

大学が始まった。


いろいろあった冬休みを思い返しながら、講義室の後ろの席に座った。



「おはよ!」


「おはよー!」


同じ学部のナツが隣に座ってきた。


「杏ちゃん、単位ヤバいんじゃない?
11月も12月も全然来てなかったでしょ?」


どうして単位落としそうになると
友達はこうも、おもしろそうに焦らせてくるんだろう。


ナツの半笑いの顔に苛立った私は

「カバン置けないでしょ!
あっち座ってよ!」

と、一つ席を空けるよう促した。


「いーじゃん!下に置けば。
ほんと、潔癖症なんだから!」

ナツは口をとがらせながらも
しぶしぶ移動した。



―――ガチャ


古びたドアに目をやると、
黒い、少し短い髪が目に入った。


――藤木さんだあーっ!

私は心の中でガッツポーズ。


ニヤリとする私にナツが一言。

「またニヤニヤして。隼士くんに怒られるよ?」


「怒られないよ。別れたもん。」


藤木さんを目で追いながら言うと、ナツに腕を掴まれた。


ビックリしてナツに目をやると、私以上にビックリしたっぽいナツの顔。


「本気で言ってんの!?」


「……‥え。言ってなかった?」


「聞いてない!!まじなの?何で別れたの!?」


ナツは、私の鞄をどけて隣に戻ってきた。