翔平は、私がどうなっても何も思わないのに
私はどうしてこんなに苦しいの?

私だけ、何でこんな辛い思いしなきゃいけないの?
ずるいよ……‥。




――――――――………‥‥

――――……‥


「ウーロン茶ひとつ。」

「かしこましました。」

愛想の良い店員さんが笑って頭を下げた。


ファミレスで一人、携帯の発信ボタンを押した。



『―――もしもし?』


「……………‥。」


『……‥杏菜ちゃん?』


「………‥お母さん。」


『今夜は淳平が帰って来るから。
晩御飯はカニでも食べに行くわよ。
早く帰って来なさい。』


一年ぶりに話すお母さんは、まるで何もなかったみたいに私に言った。



『8時までに帰って来なさいよ?
じゃあね。』