バタン。
車に乗り込む私達。
「……………。」
「さむーっ。」
翔平は暖房をMAXにしてため息をついた。
「…………なあ、怒んなよ。」
「怒ってない。」
「怒ってんじゃん!あからさまに!」
「しつこい。」
翔平は、もう一度ため息をついて、ゆっくり車を走らせた。
ある程度分かってた。
ホストっていう仕事のことは。
翔平は家にいても知らない女とメールや電話してたけど、
私は彼女じゃないから何も言わなかった。
言えなかった。
あの女に「色かけられてるんでしょ?」って聞かれて
ふと、結衣を思い出した。
結衣は真に受けてなかったけど、
私は、信じてしまっていた。
怒ってるんじゃない。
泣くの我慢しているんだよ………。
――――――‥‥‥…