「どうして寛貴なのかなあ?



どうでもイイ人間なんて、誰からも必要とされてない人間なんて、山ほどいるじゃない。


どうして寛貴なの?




おかしいでしょ?みんな、私のこと、可哀相っていう目で見るの。



みんなだって寛貴のこと、必要としてたじゃない。


どうして平気な顔して過ごせるのかな?



お葬式ね、たくさんの人たちが来てたの。



あの人たちみんな、どうして何もなかったような顔して過ごしてるの?



私だけじゃないでしょ?悲しいのは。




どうして私だけが可哀相だなんて言われるの?




寛貴の友達だって、私ばかり気使って。




あんたたちは平気じゃないの?って思った。」





私に、結衣の気持ちが分かるなんて言ったら嘘になる。




涙で前が見えなくなってる結衣には、前にあるものを教える誰かが必要なんだと思った。


支えがないと、結衣は一人じゃ進めないんだと思った。





「…‥‥周りの人間なんてさ、必要としてるフリだけして、ほんとは思ってないんでしょ?


みんな、寛貴のこと忘れるんでしょ。



おかしいのは、周りでしょ?



私は可哀相でもないし、おかしくもない。



可哀相なのは寛貴じゃない。



みんな、寛貴のこと利用して、いなくなったら忘れるなんて‥‥‥…




そっちのほうがおかしいでしょ?!」