結衣は最後は明るく
“もう少し待ってみるよ!”
と言った。


結衣は強い。
好きな人を信じてる…‥。
私だったら、とっくに逃げだしてると思う。

だけど、そんな結衣も
今はきっと辛くて逃げたくて
不安なんだと思う。

私は結衣に何もしてあげられないのかな。
こんな時でさえ…‥




「――‥ぅ…おはよ〜。」


私は携帯の画面から声のする方へ目を向けた。



翔平が眠そうにこっちを見る。


「‥…おはよっ。」

私がそう言うと翔平の顔は笑顔になった。



「…‥誰と話してたの?」


「結衣だよ。
…‥私、結衣のとこ行ってくる。」



「…‥‥・へ?」


翔平の目がパチっと開いた。


「私…‥結衣に助けてもらったから
今ここでこうしていられるの。
私も結衣の力になりたいの。
結衣が凄く辛いのに
私が何もしないでいるなんて
そんなの堪えられない…‥。」


私は強くケータイをにぎりしめた。


「…その子、大阪にいんだろ?
大阪は遠いよ?」


「知ってる。
翔平、少し待っててくれないかな。」


翔平は下を向いていた顔を
ぐいっと上げて
淋しそうに、虚しそうに
ニコリと笑った。


「行っておいで。
いつでも帰って来いよ。」



「…‥‥ありがとう…‥!」


私は急いで支度をすると、
急いで空港に向かった。


タクシーの中でケータイが鳴った。


“お前の芋も食うからな





気をつけて”



翔平からのメールを見て
私はにやけた顔を隠せなかった。