―――…‥



♪〜♪♪〜♪〜

『ぅうー‥…誰…。』


♪〜♪♪〜♪〜…

『ふあい…‥』



【…‥杏奈?】



「えっ…結衣!?」



【うん…‥あたし。
杏奈、今ちょっといい?】


久しぶりに聞く結衣の声は
不安いっぱいで
少し気になった。


「全然大丈夫だよ。
結衣、なんかあった?」


少しの沈黙の後、
電話越しに静かに結衣の声が聞こえてきた。


【寛貴がね、別れたいんだって…‥。
顔も見たくないんだって…‥。
私のこと、病室にも入れてくんなくて…。】


「…‥え…‥。
ちょっと待って。何で急に?」




【実はね、あの日からずっと
寛貴とまともに話してないの。

個室なんだけど
鍵閉められてて、先生にも
今は会わない方がいいって言われて。

さっき無理矢理
病室入ったら、寛貴、顔真っ青で‥…
真っ赤な目で私を睨んで
怒鳴ってきたの。
“お前なんかもう必要ない!
早く出て行け!顔も見たくない!
もう別れる!”って…‥。】



結衣の声は震えていて
きっと泣いているんだと思った。


「寛貴君‥…
きっと事故のショックで混乱してるんだよ。
結衣、大丈夫…‥?
ちゃんと寝てる?
ご飯食べてる?」


私がそう言うと、
結衣は電話越しに泣いていた。


【―…‥っ。ありがとう…。】




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