私は今まで誰にも話した事のない
家庭環境について、たんたんと話した。



「私の家族ね、私より妹が大事なの。
妹は顔も可愛いし、
勉強もできるし、
運動神経良いし、
愛嬌あって明るいの。
私と逆でしょ?」


「そんなこと‥」

翔平の話を遮るように続けた。


「いつも妹と比べられて
どっちが上だか分かんないねって。
いつもバカにされるのは私。

妹はしっかりしてるし、
親も安心してるみたいだけど、
私はそうじゃないから。

同棲するって言った時も
すごい反対された。

どうせ、すぐ別れるんだからって。

妹にまでバカにされた。
だから私、
むきになって大口叩いて出て来たの。
だから、今更戻れない。」



翔平に何て言ってほしかったかは分からない。


こんな話をあまりに冷静に、
話せた事を私自身、驚いていた。




―――――…‥



「荷物まとめてんだろ?」


少しの沈黙の後、
翔平が私に聞いて来た。


「うん…‥。」



「取りに行こう。
俺ん家に住めよ。」



「――え…‥?」




「お前一人じゃ、
またどこ行くか分かんねえし
一人であんな広い部屋住むの
もったいねえしな。

ほら、行くぞ…‥」




運転席にいる翔平が
助手席の私を抱きしめた。


私の大きな涙は
どんどん溢れてきて
翔平の肩を濡らした。



「泣くなよ…‥。」



「…‥だっ‥って‥
怒ら…っれると…おも‥った‥っ。」