―――‥

波の音が何度も何度も
二人の間を通り抜ける。



「…‥海‥好きなの?」


砂浜に転がってた
大木に腰かけながら
翔平に聞いた。



「…‥‥うん。」


「そっか。」




――…‥翔平は私の事、
どう思ってるんだろう?

どうして一日5万円もする
家賃を私のために
払ってくれたんだろう?




「…‥家賃のこと‥
杏菜は気にする事ないし
行くとこないなら
あの家に居ろよ。」



「でも、
翔平に家賃払ってもらうの
もう嫌だよ。
私、今までに払ってもらった
家賃、働いて返すから。」



「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。
返ってきたとしても受け取らないから。」



翔平は海を見つめている。



「…‥前にも聞いたけど、
どうして私に優しくするの?
おかしいじゃん。
私と翔平は何の関係もないのに…。」



「‥…つか親は!?
杏菜、まだ学生だろ?」



「‥…………。」



「‥…ん?杏菜?」




「‥……帰りたくない。」


「え…‥なんで?」


「帰りたくないの!!
翔平には関係ないでしょ!!」


「ちょ、待てよおいっ!」



私は車に向かって早足で歩いた。