――――…


翔平の少し後を歩く私の頭は
さっきの翔平の言葉でいっぱいだった。



「――…杏菜、今日
なんか予定あんの?」


翔平の髪が風になびく。


「……ない。」


すると翔平は立ち止まって
ニコっと笑った。



「行きたいとこあんだけど。」



この笑顔には勝てないよ…‥。





―――――…‥



「乗れよ。」


「――‥これ翔平の車?」


「うん。早く!」



翔平の真っ黒なピカピカの車に
初めて乗った私は
隣で運転する翔平の顔を
見れずにいた。



「―…‥どこ行くの?」


フロントガラスを見つめたまま
翔平に問い掛ける。



「ん〜…ま、お楽しみ。」


「なにそれ。」





―――――…‥



「おい、杏菜。」


「―――んん〜…?」



目を開けると翔平の顔が
目の前にあった。


こんな目覚め方をした私は
なんて幸せなんだろう。



「人が運転してるときに
寝んじゃねーよ。」


翔平は意地悪そうに笑った。



「…‥私、いつの間に寝てたんだろ。」



「ほら。着いたから行くぞ。」




ドアを開けると冷たい風が
勢いよく吹き付けた。



「寒ーっ!」


翔平を見ると
翔平も寒そうにしてたから
二人で笑った。





「綺麗〜!!」


私達の前には
大きな海が広がっていた。



「私、海なんて久々!」


はしゃぐ私を見て
翔平が笑った。


「俺も!」