―――‥…


俯く翔平‥…


冷たく微笑む一条さん…‥



どうして何も言い返さないの…‥



「バカじゃないの!?
こんな事して楽しい!?
人を騙して金取って、
商品扱いして…‥
翔平はあんたの
稼ぎ道具じゃない!!」



…‥私の頬を何粒もの涙が伝う。




「…‥若いって面倒臭えな。
金があれば、
世の中のたいていの事は
上手くいくんだよ!
お前みたいな甲斐性ないガキに
何が分かるんだよ!」




「――分かるもん!!
大切な人に殴られて、
傷ついた私を
癒してくれたのはお金じゃない!
体についた傷は
自然に治ってくけど、
心に負った傷は
お金じゃ買えない
人の優しさがないと
治らない!!
分かってないのは
あんたの方よ!!」




私の声は大きかったんだろう‥


道行く人が振り返る。




「…‥それも…‥
若い証なんだけどな…‥」


一条さんは
急に淋しそうに笑った。




――‥翔平の目から何か
光ったものが落ちた気がした。



「…‥俺の負けだよ。」



翔平の口から小さく漏れた
この言葉を
聞こえなかったふりをした。




「―…もう家賃のこと
ばれちゃったし、
君、帰っていいよ。」



「――‥え?」



「…‥SHO、送ってあげれば?」



「―‥代表…‥」


翔平が一条さんと目を合わせると、
一条さんは翔平の胸倉を掴んだ。


「―‥…交際は認めない。」


一条さんの低い声は
私の耳にもハッキリと届いた。