「――っ翔平‥?」
「悪いけど他の奴捜して。」
心臓の音が
部屋に響いちゃうんじゃないかと思った。
「だから金払ったの!
もう遅いって!
一条さんに聞いてみな!」
プロデューサーが怒って
翔平と私を離そうとする。
翔平の腕の力が強くなる――…
「――違約金!!」
プロデューサーの動きが
ぴたっとやんだ。
「…‥いくら?」
翔平の声が静かに響く。
「…‥…4…‥」
プロデューサーの
落ち着きを取り戻したかのような
驚いているかのような小さな声。
翔平は私の体を離すと
ジャケットの内ポケットから
札束を出した。
「5はある。
代表には俺が話つけてくる。」
そう言うと、札束を机に置いた。
プロデューサーは
札束を見て目を丸くした。
私は翔平に手を引っ張られて
スタジオを出た。
――――――…‥