―――――――‥…


「君〜、名前何にする?」




一条さんに
モデルの仕事を紹介してもらった。



「さすが、一条さんの
紹介だけあって可愛いね!」



「そんな事ないですよおっ!」



プロデューサーと
スタジオのミーティングルームで
打ち合わせをしていた。



「相手役なんだけど〜
デビュー作だしウチのトップ
つけてあげるから!」




「えっ?相手??」



「大丈夫だよ。
さ、行こうか。」





プロデューサーは私の
腰に手をまわした。








“バアン!!”―――




‥…ドアが勢い良く開いた。



「アンナ!!」



翔平が息を切らして
こっちに向かおうとした。


でも、あとから来た
警備員に抑えられた。



「離せよ!」


怒鳴る翔平をよそに


「行こう行こう。」

と、プロデューサーが私の腰を押した。




「アンナ!!」




――――…翔平を見ると


すぐ目の前に顔があった。




私はプロデューサーを振り払い、
警備員を押しのけて
翔平の手を握っていた。




「アンナ…‥」




乱れた髪…‥


翔平の髪はいつも
バッチリきまってたのに‥…



どれだけ走って来たの……





「翔平、安心して。
さっきはごめんね‥…
家賃の事、私、何も知らなかったから‥」



翔平が顔を歪ませた。



「は‥?家賃‥?」




―――「取り込み中のとこ
悪いんだけどねえ!!」



プロデューサーが
紙切れを見せてきた。


「もう金払ってあんの!
君はもうウチの!
早く撮影行くよ!」



私の手を引っ張るプロデューサー。




「待ってて!
すぐ終わるから…‥―」



翔平から離れようとすると


翔平は私を抱き寄せた。