――――…‥


「あーん。」


私は部屋で求人情報雑誌を見ていた。



一条さんの話によると
10日ごとに利子がつくらしい。


早く返さなきゃ…‥


とりあえず、この部屋は
今日出て行く。
行く当てはないけど…‥





♪〜♪♪〜♪♪〜


「もしもし」


「あっ、一条だけど…
アンナちゃん?」


「はいっ!」


私は思わず正座をした。




―――――――…‥




ピンポーン



「はあい!」


荷物もまとめ終わり、
これから出ようとしていた。




「はーい」


私はドアを開けた。




「―…‥よう。」



苦笑しながら片手を上げる
私の愛しい人…‥



「…‥‥。」



「全然顔出せなくてごめん。」




「…‥‥。」



強がりの癖が邪魔をする。


私は部屋から出て鍵を閉めた。



「…‥お出かけ?」



「うん。もう戻らない。」



私は何故か得意げに言って
エレベーターに向かって歩いた。




「は?どこ行くんだよ?」


翔平は後ろからついて来る。




「一条さんに紹介してもらった
お仕事!誰かさんのせいで
危なかった私を助けてくれたんだから!
一条さんのお陰よ!なにもかも!」


私はエレベーターに乗り、
素早く扉を閉めた。



翔平が何か言っていたけど
知らないふりをした。