「待ちなさいよ!」




私は大きな声をだした。




「――――…‥」



隼士は私の顔を見て
すごく驚いているようだった。





「ア…アンナ…
戻って‥きてくれたの…か…?」

隼士の目が一瞬輝く。




「――‥そんな訳ないでしょ!
冗談じゃないわよ!
人をバカにすんのも
いい加減にしてよ!」



今まで隼士に
こんな口聞いた事なかった。


言葉が頭で考える前に
次々と出て、
まるで私じゃないみたいだった。


それほど、私の怒りは
頂点に達していた。



「私達、もう別れたよねえ!
もう関係ないじゃん!
なんで私を苦しめようとすんの?!」



行き交う人々は
私達を横目で見ながら
早足で通り抜けて行く。



「唯一の楽しみまで
奪われた私の気持ち、
あんたには分からないの!?
どこまで最低な人間なのよ!
だいたい…‥‥っ」


―――“バシッ”…‥







私は反射的に
手の平で右の頬を抑えた。


私の言葉を遮るように
隼士はこんな人前で
手を挙げてきた。



「――…黙れ‥黙れ!!」




隼士は頬を抑える私の胸ぐらを掴み、
また殴ろうとしてきた。




「―――キャアッ!」

私は目を閉じて顔を伏せた。




―――――――…‥



―――――‥…





隼士は何もしてこない。




不思議に思って
固くつむっていた目を
恐る恐る開くと



隼士の腕を掴む
もうひとつの手。




顔を上げると、
そこにはサラサラの金髪…




翔平の後ろ姿があった。