―――…




―――――…‥



「なあって!!」



「――えっ!?」



顔を下ろすと
すぐ目の前に翔平の顔――。



「――!! 近っっ!」


ビックリしすぎて
一瞬呼吸の仕方を忘れそうになった。
私は慌てて翔平から離れた。



そんな私を見て
翔平は爆笑していた。


「アンナ、おもろい!!」






―――…‥んっ?



腹をかかえて笑う翔平に
今度は私から近付く。



「…‥なんで
私の名前知ってんの?」




翔平が急に真剣な顔をした。



「初めて会った時、
お前、ピンクのファイル
持ってただろ?
あれ、忘れて帰ったじゃん。」



―――あ、結衣からもらった
分厚いファイル。
そういや、忘れて帰っちゃった。


「悪いと思いつつも
ファイルの中見ちゃったんだよね。
最後の一枚にメッセージあってさ。
宛名がアンナだったから…。」



―――確かあのファイルの中は
DVについての資料だった。