頬がビショビショになっているのが分かる。





「俺がアンナを殴る?
………ハハハ。
そんな事、一度もした事ないよ。」



隼士の声が低くなる。



「さっき蹴ってたじゃん!
私、知ってるんだから!!
アンナの腕も、お腹も……
それに顔だって………」



結衣の声が震えていた。





「――…もう、
あんたなんかにアンナを
任せておけない!!」



結衣は立ち上がって
私に手を差し延べた。









――――ドクンッ…


――ドクンッ…ドクンッ……




―――――……



この手を取れば


隼士と離れる事になる……






「アンナ……?」


結衣がしゃがみこんで
私の顔をのぞく。





「………ごめん…なさい…
辛い事ばかりじゃないの……
隼士が殴るのは……
私が悪いからなんだよ……
私がいい子にしてれば
隼士に殴らせずにすむの……
隼士は何も悪くないの……」





―――…私は、



少し怯えていたのかもしれない。




結衣の手を取れば

今度は何をされるのか分からない。



隼士の前で隼士の事、けなせない。




「何言ってんのよ……」



結衣の目が少し大きくなった。





「――…出てってくれるかな?」



隼士の冷たい声に身震いがした。





「わかった。
だけどアンナも連れて行く!」




結衣は私を強引にひっぱった。