「私は忘れたくないんです!!ここにいたことを!!」


机があれば、ドンと手をついて力説していただろうが、ここでそれは叶わなかった。






「…まぁ今日はよろしいでしょう。いずれは訪れることです。そんなことより、そろそろ¨神風¨の時間ですね。遅れてはたいへんです。参りましょう」



ユルリと立ち上がって、教官は世界樹の更に奥に続く道へ急いだ。




しかし、その足取りはゆっくりだが軽やかだった。



教官が前を見つめ、後ろなど振り返らず一言をセシルに投げる。



「あなたにはこれから重大な試練が降り注ぐことでしょう。乗り越えられるかどうかはあなた次第。がんばりなさい」



とまっていた歩みを再び進める。


(え、なに?今試練って…?)


セシルの頭はすでに混乱しすぎていて、口を開くこともできず、教官についていくのがやっとだった。



すると、キラキラと輝く噴水が見えてきた。