余韻を残し、セシルが歌い上げる。
聴衆はその歌声に聞き入り、呆けている。
魅惑的な歌声。
それが天使になってからの5年間、セシルを支えていたもの。
容姿はごく普通。
卵色のふわふわした寝ぐせばかりの髪に、澄んだ蒼の真ん丸な瞳。
どちらかといったら、かわいい部類には入るが、リラを毎日見ているセシルには、自分の容姿などただのコンプレックスでしかなかった。
その容姿が、聴衆の憧れの的だとも知らずに。
歌を歌うセシルは、噴水からの金色の光を受け、その卵色の髪は淡い光を放っていた。
そんな姿を誰もが神の化身であるかの様に見ていた。