運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

幸いなことに、園に帰ってからの晴斗くんに変わった様子はなかった。
いつものようにお父さんの迎えは遅くなるため、今も延長保育組のお友達とご機嫌で遊んでいる。
一方私は晴斗くんの付き添いで半日病院へ行っていたこともあり、早めに帰りなさいと言ってもらい定時に園を出た。

私が勤務するのは、都心から少し離れたところにあるわかば保育園。
住宅街が近く周辺にはまだ緑の残る立地に加え、駅にも近いことから都心に通勤する親御さんにも便利な場所だ。
そのせいか、定員50人ほどの民間保育園ではあるものの、入園希望者は後を絶たない。
もちろんそれはただ便利な場所にあるというだけでなく、園長先生をはじめとする先生たちの人柄や、食育や読み聞かせなどの行き届いた保育と教育方針が支持されているからだと思う。
かくいう私もこの保育園の卒園生で、園長先生とは顔見知りの仲。
そんなご縁もあって、大学で保育を専攻した私はここに就職した。
名前は三上梨々香、新卒1年目の23歳。
まだ保育士としても社会人としても駆け出しで、必死に勉強をしている最中だ。