「どうかした?」

車内を見渡している奈美を見て、武彦が言った。

「え?」

「いや、なんか落ち着かないなぁと思って…。」

「えっと…あの…」

緊張して話せないなんて言えないよ…。

奈美は思った。

「俺さ、今日すごい楽しみにしてたんだ。」

武彦の言葉に奈美の胸は踊った。

ほんとに…?

ただ単に遊園地行くのが楽しみなのかもしれない。
…でも…


「私も…楽しみにしてたんだ…すごく…。」

一瞬、武彦が照れたような表情を見せた気がした。

「じゃあ、今日は楽しい1日にしような。」

「ひゃっ…」

突然武彦が奈美の頭をくしゃくしゃと撫でた。

びっくりした奈美は思わず変な声を出してしまった。


ヤバイ…
ほんとにヤバイ…。
心臓もたないかも…。

火照った頬を両手で押さえて、奈美はちょっとにやけていた…―。