一条奈美と桜井紗英は、同じ高校に通う2年生だ。


2人には好きな人がいた。

隣のクラスの瀬川武彦と田村要…。

奈美が武彦を、紗英が要の事を想っていた。

武彦と要は仲がいいようで、いつも2人でいた。


奈美と紗英は2人で話していた。

武彦と要とそれぞれ付き合えたら、きっと毎日4人で楽しく過ごせるね、と。


そして、紗英は勇気を出して要に告白してOKをもらったのだ。


奈美は…まだ武彦に告白する勇気が無かった…。




「でも、よかったの~?
せっかくの初デートなのに、私と武彦君も一緒で。」

奈美はそう言いながら、紗英の隣に腰を下ろした。


「うん。
奈美だって、嬉しいでしょ?
武彦君と遊園地。」
「そりゃ、嬉しいけど…。」


「それに…。
なんか、二人っきりだと、きっと私緊張しちゃうし…。」


いつの間に取り出したのか、紗英は鏡を見て、前髪をいじっている。

紗英にとっては要が初めての彼氏だった。

「私、絶対に奈美と武彦君、うまくいってほしいの。」

紗英は奈美の手を握って言った。

「ありがと。頑張るよ。」

もし、武彦君と付き合えたら、武彦君が私にとって初彼になるんだ…。

奈美はちょっとドキドキしながら、武彦の顔を思い浮かべた。


その時ちょうどバスが来た…―。