ふと窓に映る自分の顔をみると、確かに少しにやけてた。

…はぁ。嫌になる。
昔からああいうの、好きなんだよな。
幸せになれないっていうのに。もう。




バイトを終えて帰ると、それを見計らったかのようにkeiさんからメール。



『電話出来る?』


『大丈夫です』



律儀に毎回メールをしてから電話をかけてくれる。
真面目だな、ほんと。







-着信:keiさん



「もしもし」

「もしもし?お疲れ様」

「keiさんもお疲れ様です」

「ありがとう。今日も仕事?」

「うん、さっき帰ったとこです」

「じゃあタイミングよかったね」

「はい」

「じゃあまだお風呂とか入ってない?」

「うん、ほんと今ついたとこだから」

「今日はどんな格好してるの?」

「今日ですか?今日は…紫のカットソー」

「紫かぁ、俺はあんまり着ない色だな」

「結構合わせやすいですよ」

「そうなんだ」

「keiさんは?」

「俺?俺はスーツだよ、仕事だし」

「あ、そっか。先生なんだっけ」

「なにその言い方」

「ううん、なんか先生だってこと時々忘れちゃう」

「あはは。それ、褒めてないでしょ?」

「ええ、深い意味はないよ」

「ほんとに?」

「ほんとほんと」