「中山さん!」


そこにはスーツ姿の中山さんが立っていた。


「どうしたんですか?」

「外回りの帰り。朋ちゃんに似てたから声かけてみたんだけど…」


イヤホンから、まだジャズが流れてる。
中山さんにぴったりのジャズ。


「私服だと雰囲気変わるね。かわいいよ」


「…っ」


「朋ちゃん…?」


気づいたら、涙が流れていた。


結城先生に会いたい。
私も幸せになりたい。


中山さんを見たら、そんな気持ちが溢れてきて、叶うはずもない思いが止まらなくなった。


別の誰かを傷つけ、陥れたって。
keiさんを傷つけたって。
結城先生は返ってこない。


それが無意味だって、気づいてた。分かってた。


だけど…。