「僕らは、聞かれない限りヒトにモノノケのことを話してはいけないんだよ。

そのおかげで僕らのことはヒトの間にあんまり広がってなくて、僕らは平和に暮らしていられる。

ママがおねぇちゃんに僕を預けたのは本当は約束に反してるけど、紫乃さんは前から鬼の子のことを何とかしようとしていて、その紫乃さんに会いに行ったって事で罰を受けなかったみたい。

牢屋にいる鬼の子が生まれた頃にいた『見えるヒト』はあんまりモノノケのことが好きじゃなくて、全然僕らのことを知らなかったからダメだった」


カナ爺はいつも私が聞いたことにだけ答えて、聞かなければ大事なことも教えてくれない。

それは、その約束があったからなんだ。


「秀は、なんでそのこと知ってるの?」


「カナ爺に習った。

モノノケの約束も、どうやって生きていくのかも、僕のことも」


そういうことは私にも教えて欲しかった!

次から秀をカナ爺に預ける時は、必ず同行しよう。

私は心の中でひっそりと誓う。